実は、群馬県はうどんの国。水沢うどん。
うどんと言えば、讃岐。
四国香川の讃岐うどんが有名だ。
映画「うどん」も面白かった。
以前、金毘羅さんへ行ったことがある。
田窪恭治さんという美術家がフランスから帰国していた時に会いに行った。金毘羅さんの息子と同級生で金毘羅さんのブランディングをするという話しだった。
その時に金毘羅さんの階段を登る前に参道町でいただいたのが讃岐うどんで、みんな何軒かはしごをして食べると聞いた。どの店も基本は素うどんで2〜3杯は食べることができる。
東京でも天ぷらなどをトッピングしていただくファーストフードスタイルの讃岐うどん屋さんが増えていて、ランチタイムには満員でこれまでの立ち喰いそばの客を集めている。しかも女性客も入りやすい雰囲気なので、OLさんたちも多い。
で、実は群馬県もうどん王国だということは意外と知られていない。
小麦の一大産地で、今でも麦畑や大きな保存用サイロなども関越自動車道から見ることができる。渋川市から上毛三山のひとつ榛名山へ登る途中に水沢観音という観音様があり、そこだけに水沢うどんのお店が集積している。広い駐車場のある大きなお店が「本舗」という看板を掲げ、どこに入ったらいいのか迷うほど並んでいる。自然と駐車場に入りやすいお店に入り、そこでいただくことになるが、ま、どこでも似たようなものだろう。讃岐でもそうだったし。
この日に立ち寄ったのは丹次亭という本舗。その近くにも大澤屋という老舗もあり、狭いエリアで大きな店舗が競い合っているので味も平均化していると思う。でも、なぜ、群馬の水沢うどんが全国区にならないのだろうか。広島出身のかみさんに言わせると「味が濃い。関東の味。醤油で食べている感じ」という通り、出汁で食べるのではなく醤油で食べるのが上州スタイル。実はこれがいけない。広島には「ちから」といううどん屋さんがあり、ここは出汁でいただくスタイル。透明で金色に輝くかつお出汁。うどんを食べた後、出汁まで全部飲んでしまえるくらいの薄さでも味がしっかりして美味しい。関西圏は基本的に出汁でいただくスタイルなので、四国の讃岐でも同じ味付けだ。それが関東に来ると醤油になってしまう。それは海の幸がないからという海無し県ならではの事情もあるだろう。
それと、観音様のご利益を願ってなのか、うどんを積極的に外に出すことをせずに鎖国状態でうどんを守ってきたという歴史もあったという。
「地粉ですか?」と最後にお店の方に聞いたが、「いえ、そうではないんですよ。」だって。
子供の頃、冬になるとおふくろが「おきりこみ」をよく作ってくれた。おきりこみとは山梨でいう「ほうとう」のことで、煮込みうどんだ。うどんをうってから茹でずにそのまま味噌醤油の汁で煮込む。寒い日には体中が温まり、お腹もいっぱいになるので大好きだった。それを翌日の朝、こじれたのを食べるのがまた美味しかった。カレーも次の日が美味しいというけど、それと同じでこじれたおきりこみの美味しさが、この季節になると懐かしい。