豊島区の区役所マンション、クヤクション。
東京だからできる事業なんだろうね、これは。
豊島区役所を建て替えるのに、上に分譲マンションを作ってしまうことで、区役所自体の建築費負担はないという、すごいスキームの事業だ。
49階建、総戸数432戸。外観デザインが隈研吾。デベは東京建物。
総事業費の約435億円は住戸販売の収入などでまかない、区の一般財源からの支出はゼロだという。
民間施設を併設する役所の本庁舎は全国初で、11階以上のマンション432戸のうち、地権者分を除く322戸が3,398万~2億998万円で販売され、分譲収入181億円が区など地権者でつくる建設主体の再開発組合に入った。
平均坪単価は@330万円くらいになる。
ということは、分譲マンションの購入者が区役所の建築費を負担しているということになるのだろうか?と思うが、報道をよく見ると、国などの補助金から約106億円。区の負担は124億円になるが、現在の本庁舎や分庁舎の解体後の敷地を民間に貸すことで賄うらしい。
今、あちこちの地方都市でも似たような現象が起きている。市町村合併は進んだが、古くなった市庁舎などが耐震基準も満たしていないので、建て替える必要があるが、予算が賄えない。そこで国からの合併特例債を活用して事業費の半分くらいは捻出するが、それでも事業予算のやりくりを迫られる。もうひとつの切実な問題が高齢化に伴う火葬場の能力不足だ。そもそも火葬場は嫌われ施設なので、そう簡単に立地が決まらない。ここ数年の間に火葬件数は急増することが目に見えているが、処理能力は限られているので、待たされることが多くなる。先日田舎であったお葬式でも同じことを聞いた。
地方都市でもこのようなモデルが実現できる可能性があれば、地方創生にもフォローになるのだろうが。
余談だが、見学していて目についたのが、ふくろう。池袋だからなのか、ふくろうなの。ちょっと意味を感じられなかったけど。
木のような外観を考えたと、隈研吾氏は語っている。区役所フロアの外周はエコベール。太陽光パネルと緑化パネルで構成されている。
いわゆる吹き抜け、エコヴォイド。自然再興と自然換気を実現する、空気の流れ道。
このスリットが多用されている。木目だが全部木目のシート。間伐材でもいいので無垢材であればもっといいのに。