石神井公園を半日歩きながら。
武蔵野らしい原風景。
練馬区にある都立石神井公園に出かけた。
ここは、いつも関越自動車道の練馬出口から世田谷まで帰る際に、環状8号線が混んでいる時に通る抜け道として利用していて、だいたい夜にこの石神井公園を両サイドに見ながら石神井から西荻窪へと抜けて通る道だ。いつも夜しか見たことがないので、昨日は予報に反して天気もよかったので出かけてみた。
東京には都立公園がいくつもあり、意外と緑が多いとしてとして知られている。代々木公園、武蔵野公園、世田谷では芦花公園に砧公園など、どの公園も都会にしては面積も広く樹齢の高い落葉樹が茂り、鳥達の格好のねぐらにもなっている。石神井公園も面積も広いが、適度な起伏があり何と言っても一番の魅力は大きな池だ。三宝寺池という池は、公園内の湧水が溜まってできた池で、かつては透明な清流がとてもきれいだったという。この三宝寺池には三宝寺というお寺があり、徳川家光が鷹狩りに来た際にここでよく休んだと言われている。公園の周辺には縄文時代の遺跡群がたくさんあり、古代より人々が住み着いていた武蔵野台地の中では暮らしやすい土地柄だったのだろう。
この三宝寺池をぐるっと一周できるようにウッドデッキの遊歩道も整備されていて、歩きやすいのでお年寄りの方も多く散策を楽しんでいる。ところどころに休憩用のベンチもあり、武蔵野の原風景を楽しみながらゆっくりと愉しめる。中にはカワセミの飛来スポットもあり、長い望遠レンスを付けたカメラを持った人たちが静かにシャッターチャンスを狙っている。また大きな蓮池もあり、すでに蕾がたくさん上がってきていて、あと数日で開花すればその風景も絶景だろうと思われる。
武蔵野の原風景と言っても私も直接は知らないが、このように水と木々、緩やかな起伏に飛んだ里山らしい風景は、おそらく武蔵野の原風景と言えるに違いない。
日銀のグラウンドも一般開放に。
園内に「旧内田家住宅」という古い茅葺きの農家が保存されている。練馬区内にあった明治20年ころの農家で、今でもきれいに茅葺きされており、屋根裏の寄棟造の構造もよく分かる。維持管理がしっかりされているのを見ると、練馬区の財政事情も推し量れる。
また「ふるさと文化館」というモダンな建物もあり、ここでは練馬区の歴史やかつての区民の生活ぶりなどがとてもよく分かりやすいように展示されている。この週末はホタルの鑑賞会なども催されているようだった。屋外プールも整備され、スタッフはオープン前の掃除に追われていた。
この分室として今年の4月に開館したのが、旧日銀グラウンド。こちらの管理棟はさすが日銀とあってまるでゴルフ場のクラブハウス並みの豪華さ。ここが一般公開され、日銀グラウンドも子どもたちがいつでも遊べるように一般公開されている。年に1回の運動会に使われるだけだったら、区民に開放しようとということになったのだろうが、国債を買い続けるお金が必要なので、ついに資産売却も静かに始めていたのか、などと勘ぐってしまうが、区民にとってはとても喜ばしい環境だ。まだ解放後間もないせいか駐車場も空いているので、お近くの方にはお勧めのスポットだ。
半日、のんびり散歩。
実は石神井に住んでいる先輩がいるので、世田谷野菜を手土産に久しぶりに訪ねた。昼飯に蕎麦を食べたあと、何となく話しをしながら石神井公園を一周してしまい、何だか歳をとった老人二人が仲良く散歩している、そんな風景を自ら想像しながら半日の散策を楽しんだ。歩いていると、池で釣りをしている人との会話があったり、カメラを構えているマニアとの会話があったり、茶店のお姉さんたちとの会話があったり、人同士の身近さも感じられた。これも練馬故の人柄なのだろうか。
間もなくシルバー津波がやって来て、町には一気に高齢者が増えてくるという。我々もそんな仲間になるのも時間の問題だ。でも、こんな公園をゆっくり歩きながら会話を楽しむのも悪くないなと感じた。