Tokyo Farm

東京でもなかなか買えないパリのバター。

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去年だったか一昨年だったか、店頭からバターが消えたことがあった。その時気になったので調べてみたが、それ以来あまりバターを使わないようになった。ケーキを焼くときもバターを使わないレシピにするようした。
なぜバターが無くなったのか。東日本大震災後ということと猛暑の影響もあり、乳牛さん達からの搾乳量が減少しているので、バター生産が間に合わないというのが国の言う理由だった。だったら、海外から輸入すればいいのだが、実はバターには高い関税がかかっている。それも1次で35%と2次の約30%2つの関税が。今、ちょうどTPPが暗礁に乗り上げているが、酪農産品の関税も大きなターゲットになっているはず。この関税を撤廃すると、猛暑の後のバター不足の時は輸入を増やせることになるが、果たしてどうなんることやら。日本の酪農業界には「独立行政法人農畜産業復興機構(alic)」という法人があり、ここで日本国内で流通する畜産品のすべてを取り仕切っている。「農畜産業及び関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定を目指して。独立行政法人農畜産業振興機構(alic)は、農畜産物の生産者の経営安定対策、需給調整・価格安定対策、諸情勢の変化に対応した緊急対策、これら対策に関する情報収集提供などを効率的に実施することを通じて、国民の皆様の期待と信頼に応えて参ります。」と業務案内にあるように、長年酪農家の経営安定のために大きな役割を果たしてきた。もちろん我々都会の生活者もその恩恵に預かってきた。いつでもスーパーに行けば新鮮な牛乳もバターも買うことができた。経済成長時代というか生活質の熟成過程では受給のバランスをいかに取るか、流通のインフラをいかに構築するか、それがとても重要な施策であることは間違いない。そのための役割は大きく果たしてきたことは間違いない。日本の優秀な官僚組織の成果・青果だ。
しかし、輸出メーカーがこれだけ苦しんできたグローバリゼーションの時代で、食は国家の基幹だからということで、関税を維持することがそんなにメリットがあるのかどうか。一方では国内の農家が激減し、耕作放棄地の増加、自給率の低下など、回復不可能な現状になるまでほったらかし。ワインだって小麦だって輸入がなければ我々の食卓は味気ないものになってしまう。今年2月の大雪大災害のような自然災害も増回傾向にある。昔から田舎の親父が言ってた。「ここは山間地なので農業には向いていない。」たしかに、冬は日照時間が4時間くらいしかない山間地で平地も少ない。近くの高地に国の事業で開墾された農地もあるが、今では半分は放棄地。そもそも南北に細長い日本列島での農業には限界があったが、農家の知恵と努力で何とかここまで自給を保ってきた。しかし、もっと頭のいい霞ヶ関官僚たちの成果物が酪農産品の流通統制を行い、結果その税金や手数料で年間何十億円という管理運営費までまかなっている。情報公開法で100万円の理事長の給与まで公開されているのでご覧になって欲しい。
実は、乳牛の乳(牛乳)は毎日搾乳をしないと牛は病気になってしまう。田舎で同級生が大規模酪農を営んでいて、何とか専業農家で頑張っているが、生産者価格は上がらず、毎日仕事は休めないから旅行にも行けないと聞いたことがある。だから猛暑のせいというのは官僚の考えた言い草であり、輸入量を増やすための口実だったとさえ考えられる。市場が品薄になれば輸入を増やすことができ、関税収入からの上納金が増えるという仕組みだ。生産者に言わせれば、もっと牛乳の消費を増やしてよ!しかない。玉子も物価の優等生とか言われてしまっているけど、安すぎる。ミネラルウォーターよりも牛乳の売価が安かったりするのは信じられない。だって手間のかかり方が違うでしょ。

前置きが長くなったけど、パリから来日中の友人から、名だたるミシュランの星付きの料理人が愛用していることでも有名だと言う「ボルディエ」のバターをいただいて。パリでもなかなか買えない逸品らしいけど、今回いただいたのは塩おを含んだタイプ。調べてみると、日本では生クリームの中沢フーズのオンラインショップで買えるくらいだが、125グラム1,313円。200g400〜500円の雪印バターに比べると、相当割高。これでは日本には入ってこない。ここに官僚たちの青果が効果を発揮している。で、お味はというと、たしかに塩分入りなので少々味が濃い目。でも、パンに付けて食べるだけで充分美味しくいただきました。
そう言えば「カルピスバター」というのがあり、友人の写真家Nさんは長年このバターを愛用しているという。それと長年買ってないがマーガリンというのがある。バターの代わりに登場したパンに塗って食べるバターのようなもの。この話題はまだあらためて。

ボルディエのホームページはこちらから。

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