surf

減る海の砂浜。

この歳になってサーフィンを始めるのもどんなものかとよく言われるけど、昨年の夏から海に入るようになってみて一番驚いたのが、海岸線の浸食の酷さだった。
いつも鎌倉の由比ヶ浜から稲村ヶ崎を通って七里ヶ浜へ、国道134号線の左車線を走って行くけど、稲村ヶ崎を過ぎるところがずっと道路工事をしていた。そして、七里ヶ浜の海に初めて入って海上から見た風景にびっくりした。道路が陥没寸前くらいまで侵食されていて、大きな土嚢が積みあげられている(下の写真)。地元のサーファーに聞くと、「一昨年の台風で大きく削られた」という。

稲村ヶ崎から国道134号線を見たところ。ちょうど真ん中あたりが土嚢の防波堤。

もう一つ、地元のサーファーから聞いた話。「稲村ヶ崎から砂浜が消えた」。かつては稲村ヶ崎にも砂浜があり、ビーチとして人気のポイントだった。稲村クラシックという人気のサーフィンの大会も開かれていた。その稲村ヶ崎からもすっかりビーチが無くなり、リーフと言うよりも岩礁になっているのでなかなか地元のサーファー以外はここのポイントには入らなくなった。

ちょうどタイミングよく2020年10月16日の朝日新聞夕刊に、全国で海岸線が侵食されているという記事がトップに掲載された。こちらの記事。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14663513.html?iref=eve_articlelink01

石川県や北海道でも砂浜が大きく削られているという記事で、その原因は温暖化による海水面上昇で海が砂を運んでしまうというのと、日本列島各地に作られた砂防ダムによって川から砂が運ばれる量が激減しているという見立てだ。

さらに11月21日の夕刊に、スーパームーンが原因ではないかという論文が発表されたという記事がトップ面に掲載された。

港湾空港技術研究所が長年茨城県の海岸で観測を続けた結果、スーパームーンが砂浜を削ったということが分かり、論文を発表している。
https://www.pari.go.jp/press/2020/super.html

科学誌Geophysical Research Lettersでの論文発表
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2020GL089745

さらにTBSのニュースでアフリカのセネガルでも海岸の侵食が進んでいるというニュースも報道された。

サーフィンを始めて分かったことは、波は毎回違う。そして毎日違う波がやってくる。だからよく波を見ないと上手に波には乗れないという、ごく当たり前のこと。でも、この風景には正直驚いた。世田谷で10年以上野菜を作っているけど、ここ数年はこんなことはなかったという気候の変動を実感することがある。長靴を履いた足がズブズブと沈んでしまうほど大量の雨が降ったことや、冬になっても虫が活動を止めずに白菜が虫食いだらけでどうしようもないなんてことも。

サーフィンも野菜づくりも自然の影響をもろに受ける活動なので、気候の変動もダイレクトに肌に伝わる。だって、この歳で12月になっても海に入るなんて考えられなかった。はっきり覚えているのが、2020年9月30日がとても暖かくて、ウェットスーツなしでも海に入れたので、あれ?っと思い、10月も11月も海に入り、セミドライのウェットスーツを買い、12月になっても毎週海に入り、年末寒波の中、30日と31日は2日続けて海に入ったのには自分でも驚いた。これは、海水温がこんなに高いとは知らなかっただけで、実際に海に入っていても冷たさをほとんど感じない、つまり、それだけ海水温の上昇していて、サンマもいなくなるわけだという理由も分かったことのひとつ。

雪の降り方も同じで、昨シーズンの年末年始は雪不足でスキー場はオープンできなかったのに、今シーズンはドカ雪で交通網も遮断。スキー場にもたどり着けないほどの大雪。「まるでいじめられているようだ」というスキー場の人の声もリアルだ。

地球温暖化、気候の変動、野菜づくりとサーフィンを通じて、リアルに感じるようになった。で、どうするかって?考えるしかないけど、考えてできることをするしかないのかなぁ。

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