バンクーバーの朝日。
お正月に映画館で映画を見るなんて、何年ぶり、いや人生で初めてかもしれない。
「バンクーバーの朝日」を観た。
若手石井裕也監督の作品。
世界大戦前に日本各地から世界各国に移民として渡った人たちがたくさんいた。
広島にいる親戚のおばあちゃんもハワイ移住という人生を過ごして来た。
パールハーバーの前にちょうど日本に帰国してたので、太平洋戦争開戦に伴いハワイに帰ることができずに、そのまま広島に滞在することになったのが幸いした。
映画「バンクーバーの朝日」の舞台はカナダのバンクーバー。
ここにも日本から多くの移民が移住していたという。
「3年ここで働けば、日本に帰って一生楽に暮らせる」という夢を持ち、多くの日本人が海を渡った。ブラジルもハワイも同じ事情だったのだろう。しかし現実は異なり、白人社会できつい労働を強いられていた。それでも子どもたちは夢を抱きながら毎日を必死に生きていた。
そんな時代背景の映画で、主人公たちは野球を通じて白人社会と戦い、心が通じ合うようになる。が、パールハーバーで日本人は強制収容所送りとなる。
カナダでもこんな歴史があり、そしてカナダリーグで活躍した日本人チーム「朝日」の存在などまったく知らなかった。よくこんな話題を見つけて映画化したなと感心もした。当時の選手の大半はすでに故人となっていたが、2002年には野球殿堂入りを果たした。映画のラストシーンに一人の老人が無言で写される。
過去は変えられない。未来は変えられる。
この言を元に考えれば、戦争は行ってはいけないことだという当たり前のことだが、世界を取り巻く状況は必ずしもそうなっていないことが嘆かわしい。
映画としては、野球ものというより青春もの。このように虐げられた生活の中でも必死にもがいてい今日を生きる、その姿を言葉も少なめにして描いていたのが、好ましかった。
野球好きな亀梨君が妻夫木と渡り合っていたのもよかったし、妻夫木のお父さん役を佐藤浩市というのも、もうそんな歳かと三國連太郎の姿とダブって見えた。父の言葉が広島弁だったので、ああ、この家族も広島から来たのかと運命的なものも感じた。個人的には主人公の妹がよかった。高畑充希も可愛らしいしね。
で、同じ日、清水ミチコの「趣味の園芸」が武道館であった。
ひとりステージで武道館。家内と娘はこちらを観に行った。
これもすごいけど、今月WOWOWでもオンエアされるのでこちらはテレビで見よう。