漫画「弱虫ペダル」の威力がスゴイことに。
漫画の力は凄い。
自分たちが子供の頃もたしかにそうだった。
あの頃の漫画のヒーローは、星飛雄馬であり、矢吹丈だった。
毎週、少年マガジンが発売されるのが楽しみだったが、田舎の少年たちは自分たちで買うことなどできなかった。村のお兄さんたちが買ってきたマガジンを回し読みをしていた。だから発売日の何日か後にならないと自分の順番にならない。それでも毎週楽しみにしていた。しばらくするとテレビで放送が始まった。巨人の星は今ではインドでも放送されているという。まさに世界に誇る日本の漫画の名作だ。
そんな構造は今でも変わっていないようだ。少年マガジン(講談社)が少年ジャンプ(集英社)に代わり、世代を超えて多くの漫画ファンがいる。集英社はジャンプのおかげで出版会の中で唯一と言っていいくらい巨大なメジャーになっている。
弱虫ペダル。
実は、現在の自転車ブームの背景には「弱虫ペダル」という漫画があったようだ。
この週末幕張メッセで開催されている「サイクルモードインターナショナル2014」に出かけてみた。世界中から500を超えるメーカーが出展する日本最大のスポーツ自転車フェスティバルだ。
先輩の息子さんがイタリアの自転車「ウィリエール・トリエスティーナ」のインポーターで働いていて、何年も前に「10万円以下の自転車はない」と聞いたことがあり、ブースを覗いて見るとたしかに未来的なデザインの美しい自転車が展示されている。素人にはその違いがよく分からず、どうしても「価格」に目が行ってしまうが、30万円クラスが平均で、中には100万円を超える自転車もある。
クルマが売れていない背景。
今日の報道でも、今年に入ってクルマが売れていないとあった。消費税前の駆け込み需要の反動以上の売れなさだという。もう、都会の生活者はクルマを必要とせずに、自転車へとシフトチェンジしているのは明らかかだ。そう考えると、数十万円する自転車をローンで買うことも不思議ではない。先日、信州のワイナリーで会った千葉から来ている知人も高級な自転車を買って、長野で乗るんだと言っていた。彼はクルマもバイクも所有しているが、さらに自転車も買い足した。
弱虫ではない。
毎朝246を渋谷方面へ走っていても、深夜世田谷へ走っていても、日に日に自転車の数が増えているのが実感される。それも、ひと昔前はマウンテンバイク系が多かったが、若い女性たちもロードレーサータイプに乗っている。彼等はヘルメットも着用しているし、ズボンの裾がチェーンに噛まれないようにピッタリタイツのようなパンツも履いている。安全確保の兼ねたサイクルファッションも重要なアイテムになっている。世田谷から渋谷までの片道10キロだと、クルマでも自転車でもたいして時間が変わらないことも分かる。世田谷で見かけた若い女性の自転車に池尻大橋附近で追い越される、そんなこともよくある。そう考えると都内は自転車の方がいい。環境にも経済的にも。でもクルマやガソリンは売れなくなる。前記のウィリエールによると、今の自転車人気は想像以上で、それは「弱虫ペダル」の恩恵だと言う。作者の渡辺航さんのことを「先生」と呼ぶのも無理はない。
で、密かに自転車買おうかな。と考え始めている。
会場で聞いた話題だが、GOKISO「ゴキソ」という自転車部品のメーカーが名古屋にある。自転車のハブ(車輪の軸受けパーツ)を製造している会社で、世界の航空機パーツも製造している会社だ。ここの作るハブは世界一で、自転車の車輪が回転する抵抗が極限まで抑えられ、走るためのエネルギーがほとんどロスされない宇宙一の技術だという。シマノだけが世界一ではなく、こんな会社が日本にはあるということだけでもとても誇らしいと感じた。残念ながらGOKISOはこの展示会には出展しておらず、サイトを見るとパリ航空ショーに出展しているというから、目指す世界が違う。