世田谷で路地いちごを初収穫。
昔、子供の頃。
田舎でいちごを食べるとしたら、庭先や池の回りに生えている自生の路地いちごだった。
食べられるのは初夏。そろそろ夏の気配を感じる頃、庭のいちごが赤くなり、兄弟で競って探して食べていた。
そんな食べ物だった。他にも夏になると様々な果物を食べることができた。
果物というよりも正しくは木の実。
グミと呼んでいた木の実。ドドメと読んでいた桑の実。グミには様々な種類があって、オレンジ色のもの、濃い赤色のもの。つぶつぶのものや丸いものなど、食べらるかどうかは自然に身についた知識があった。でも、よくお腹が痛い、そんなこともあった。
今暮らしている世田谷にも農園がたくさんあり、近くの野島農園さんでは毎年いちごの会員を募集している。
今年、始めて申し込んでみた。会費は5,500円で、今日から収穫開始。畝の中、わずか数メートルに仕切られ、20株が自分のエリアとして分けられ、シーズン中はすべて収穫できる。ほとんどが子どもたちと一緒に来るファミリー層で、私のようやオヤジは少ない。
軽井沢のいちご農園が2月の大雪被害で全壊してしまったため、美味しいいちごを食べることができなくなったので、せめて身近ないちご園で収穫して食べようと思い、申し込んでみた。
本来、いちごのシーズンはこの季節だ。田舎ではもう少し遅くなるが、5月の初夏に赤くなる。それがいつの間にが日本のいちごは冬が旬になり、誰かが「1月から5月まで収穫できるからいちごって言うんだ」などといい加減な後付けの理由を語っていた。もちろんケーキ屋さんたちの目論見であり、農家さんたちは旬を外して栽培するために多くの灯油を燃焼させて栽培している。温暖化や旬を食べようという時代に、おかしなことだが、こんな栽培をしているのはおそらく日本だけだろう。
そんなことを考えながら、今朝、初めての収穫だった。
味は、美味しくなかった。灯油をたくさん燃やして巨大なビニールハウスで栽培するいちごは大粒で甘かった。そんないちごを食べてしまうと、路地いちごなんで、蛇いちごのように思えてしまう人間の贅沢さがよく分かる。でも、大事に収穫して、ジャムでも作ろうと思う。